実績からピックアップ・執筆編

これまでに執筆した記事をまとめています。このページは、ミシュランガイド・フランス版で星を手に入れたシェフの話題をご紹介します。

ミシュランガイド・フランス版

ミシュランガイド2009年度版ミシュランガイド・フランス版は、2009年に創刊100周年を迎えました。

かつては400ページだったガイドは、いまや2000ページとなり、情報量が増えました。

2011年度版には、571のレストランに星が付きました。ミシュランガイド最高峰の三つ星は、フランス全土に25あり、パリが10と際立っています。2011年度新たに三つ星に昇格したレストランはありませんでした。

これまでに、三つ星を手にしたシェフ、返上したシェフ。星の裏には、様々なドラマがあります。

新しい三つ星レストラン「ル・ブリストル」(2009年)

ミシュラン・レストランガイドのフランス版は、今年100周年を迎えた。紹介されている3531のレストランのうち、548ヵ所に星がついている。(三つ星26、二つ星73、一つ星449)。日本人シェフが経営するレストランでは、ローヌ地方のフレンチ料理店「ラ・カシェット」が一つ星を獲得。これで、本場フランスで星を獲得した日本人シェフは6人になる。

今年、三つ星に昇格した、パリ8区の高級ホテル「ル・ブリストル」のレストラン。シェフは、ノルマンディー出身のエリック・フレション氏(45)。大統領府に近いことから、サルコジ大統領もしばしば食事にくる。大統領のお気に入りはマカロニのファルシ(詰め物)、トリュフ添え。イギリスのトニー・ブレア前首相やエジプトのムバラク大統領ともここで会食した。

14歳の時に、自転車を買いたくてカキの殻をむくアルバイトをしたのがきっかけで料理の世界にはいったフレション氏。18年前には見習いとして、ル・ブリストルで働いた。このレストランのシェフになる日を夢見て、パリ市内の有名レストランで修業を積んできた。優秀な職人に与えられるMOFという賞や、フランス最高の勲章レジヨン・ドヌールにも輝いている。一時はビストロを経営していたが、1991年にシェフとしてル・ブリストルに返り咲いた。

シェフは、農家だった祖父、野菜や果物の仲買人だった父から素材や季節感を学んだ。また、母親が作ってくれたりんごのタルトやローストチキンのじゃがいも添えの味も忘れない。地元ノルマンディー、そしてフランスの食材を好む。また、新しい味や食材を、フランスの伝統料理に結びつけるのが特徴。じゃがいものゴーフル、オシェトラ・キャビア添えなど、素材を活かした、洗練された料理に定評がある。

高級料理を作ってきた経験を、プロだけでなく一般の人々にも伝えようと、まもなく家庭でも作れる料理の本が出版される。現在、一緒に住んでいるパートナーと共同で執筆したレシピ集。シェフ秘伝のレシピを彼女が誰にでも作れるようにシンプルに説明したもの。超簡単に作れるという100種類以上の料理方法が掲載されている。三つ星レストランにはなかなか行く機会がないが、なんだか三つ星シェフが身近に感じる。

100年の歴史を誇る美食の国フランスのガイドは、これからも料理人の腕と味を称え、我々が料理人の人柄や料理の奥深さを知るきっかけを与えてくれるのだろう。

三ツ星を返上したシェフ(2008年)

ミシュランガイドで最高峰の3つ星を得たレストランはフランス国内に26ある。そのなかのあるレストランのホームーページにこんなメッセージが掲載されている。「妻のジェーンとともにオリビエ・ロランジェはレストランを閉店することを決めました。」3つ星獲得から3年、ロランジェ夫妻の決断は、驚きをもって伝えられている。体力的な限界を感じたというロランジェ氏は、星は返上するが料理人の道は歩み続けるという。

フランスで3つ星を返上するのは、ロランジェ氏で4人目となる。1996年にジョエル・ロブション氏、2005年にアラン・サンドランス氏、2006年にアントワーヌ・ウエステルマン氏が星を返上した。3つ星を維持するプレッシャーから開放され、それぞれの料理を追及した結果、新たに星を獲得している。

ロランジェ氏は53歳。ブルターニュ地方カンカルの生家で一軒目のレストラン「メゾン・ド・ブリクール」をはじめて26年になる。体力的にはまだまだいけそうな年齢に思えるが、このシェフの場合は特殊な事情がある。20歳の時に若者たちによる暴行を受け、回復に2年もかかっている。その後遺症が影響し、「調理台の前に立つことが難しくなった」と言う。 閉店を惜しむ声が聞こえてくる。地元の観光局によると世界中から問い合わせがあり予約は3ヶ月前にいっぱいになる。

ロランジェ氏の料理は、海の幸と香辛料を結び付け、近隣の町サン・マロとインドへの道を物語っている。モン・サン・ミッシェル湾でとれる新鮮な魚介類や地元の野菜に、遠い異国の香りを加える。「まとう鯛、インドへの回帰」という魚料理が知られている。地元紙は「冒険心と世界への道」を表現した料理と評している。 多くの3つ星シェフが、海外に事業を拡大していくなか、ロランジェ氏は地元に足場を固め、ホテルや民宿、料理学校、香辛料の販売店など幅広く事業を展開している。これらの事業は続ける。全従業員およそ80人は、解雇せず新たなポストに配属する。閉店する3つ星レストランは、展覧会や会議場として利用する予定だ。慈善事業で夕食会を開く計画もあるそうだ。

レストランを開店した時のことを語るときロランジェ氏の言葉には「妻ジェーンの支えがあって」という前置きがある。夫婦二人三脚で始めたレストランは、開店2年後に1つ星を獲得。それから4年後に二つ星、2006年に3つ星に輝いた。今回の閉店もジェーンさんと二人で決断している。 閉店は12月15日。地元を愛し、星の評価を求めないロランジェ夫妻の新生活が始まる。

開店早々に星を手にした若いシェフ

Julien Ducote

ミシュランのレストランガイドで2009年に初めて星を獲得したBoulogne-Billancourtのレストラン「Ducoté cuisine(デュコテ・キュイジンヌ)」。開店わずか8ヶ月で一つ星獲得!ホールから厨房が見える現代的なつくり。若いシェフ、ジュリアン・ドュコテが汗をぬぐいながら厨房を右へ左へと走り回っていました。 ドュコテ氏は、三つ星シェフ、Paul Bocuse や二つ星シェフ、Michel Rostangのもとでキャリアを積みました。

味も雰囲気もはなまる。サービス係もにこやかで、迅速。デザートのオススメは多種多様のスフレ。チョコレ-ト、ピスターチオ、塩キャラメルなどなど。ふんわり膨らんだスフレがタイミングよく運ばれてきました。
(2009年3月11日)

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